2011年5月10日火曜日

桃太郎の鬼ヶ島にインストールされた現代アート:瀬戸内芸術祭

 女木島の中心からバスで10分程度山を登ると、鬼の洞窟と呼ばれる「鬼ヶ島大洞窟」。ここは、通常は観光地として親しまれているところで、桃太郎伝説が伝えられる地だ。全長約400メートル、面積は約4000平方メートルの洞窟である。夏でも冬でも洞窟の中は摂氏15度。ひとときの涼をもたらしてくれるが、少し肌寒くも感じられる。

【動画:ロルフ?ユ Lineage rmt
リアス「緑の音楽」】 【拡大画像や他の画像】

 この洞窟は人工で掘られたもので、岩壁を見ると削った跡が分かる。鬼が住んでいて、桃太郎が鬼退治にやってきたと伝えられるが、海賊が使っていたという説もある。ひんやりとした洞窟の中を進んでいくと作品に遭遇する。サンジャ?サソの「鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利」だ。

 サンジャ?サ rmt Final Fantasy XI
ソはクロアチアのアーティスト。真鍮のワイヤーで網目状に組まれた人体が、宙に浮いたようなかたちで展示されている。暗がりのなかに浮かぶワイヤーの彫刻は、鬼のいけにえとなった女性なのだろうか。人体のところどころが破れており、鬼による虐待を連想させる。洞窟という非日常の空間神話の世界に浸るのも悪くない。

 鬼ヶ島の洞窟を出て次の作 rmt ラテール
品、ロルフ?ユリアスの「緑の音楽」へ。歩けど歩けど、なかなか作品が見つからない。と思ったら、音が聴こえてきた。それが作品である。

 ロルフ?ユリアスはドイツのサウンド?アート界のパイオニア的存在。日常の音をサンプリングし、余計な要素を取り除きミニマルな形で音を立体的に構成し空間を作り上げる。今回は、島のさまざまな場所で採集した 12
音を森の中で再現している。目で見る作品ばかりの中で、耳で感じる作品は新鮮な驚きを与えてくれた。

 木造の家屋の中に迷宮を作り出した、行武治美の作品「均衡」。これは、圧巻としかいいようがない。木造の家屋の中に、1万数千枚ものガラスのパーツを用いた無数の柱がカーテンのように巡らされてる。

 鏡に囲まれたミラーハウスのよう
な閉塞感はなく、それぞれのガラスの角度が違い、間から漏れる光やさまざまな背景の写り込んで自分がどんなところに立っているのか、一瞬分からなくなる。まさに、ラビリンス。

 奥の階段からは2階に上ることができる。そこから見る風景もまた面白い。見る時間帯や天気などによって、光と影の陰影のつきかたは全然異なるだろう。あまり長い時間いる
と少々怖くなってくる、多彩な表情を持つ作品である。

 レアンドロ?エルリッヒの作品は、作品と出会う一瞬にすべてがかかっている。空間の中に一歩踏み入れたときの何ともいえない違和感、そして巧みな視覚のトリックとハイセンスなユーモアで「あ、だまされた」と思いながらもずるずると彼の作品世界に引きずり込まれてしまう。

 金沢21
世紀美術館の「Swimming Pool」では、一瞬水の中に何故人が? と思ったらそうではなくガラスの奥に空間があることを知り、シャネル モバイルアートでは、何も見えない真っ暗な部屋に通されたかと思いきや、下に溜まっている水たまりにパリの街とそこでの営みが映し出されていた。

 今回作品を仕掛けたのは、レストランの中。このレストランは芸術祭
のために新しく建てられたもので、中央に真っ白な石が敷き詰められている中庭がある。しばらく待っていると、ザッザッザッザという音がして中庭に目をやると、石の上に足跡が残されていた。何か、いるらしい。

 もう1つの作品は、部屋の中にある。レアンドロ氏の作品は出会いの一瞬が大事だ。なので詳細な説明は避けることにする。

 部屋
の中からは、感嘆の声というより、「あっ、あー、そうか」とか「うわ、面白い」といったような、地味にびっくりしてその後納得し笑う。そんな反応をしている人が多かった。ぜひ作品といい出会い方をして欲しいと思う。

 女木港付近の個人邸(旧岸田邸)を心地よい休憩所に、そして音楽のステージに変容させたのは、愛知県立芸術大学アートプロジェ
クトチームである。

 「MEGI HOUSE」と名付けられ、愛知県立芸術大学の活動の拠点としてさまざまなイベントを行う場所になるという。プロジェクトのメンバーも多彩だ、美術、音楽、建築、工芸、大学内のさまざまな学科が融合して1つの場所を作り上げている。

 入り口を入ると、足の裏はいつものアスファルトとは違う感覚で、シャリシャリ
という心地よい音がする。これは「opera glass」という作品で、陶磁専攻の榊原扶美さんらが中心となって制作された。

 10万個以上の陶製のチップが敷き詰められている。その脇を取り囲むアールの壁は水津功さんによる「R壁」。高さ3メートル、長さ13メートルの壁は、旧岸田邸にあった廃材を利用して作られた。

 中の造りも面白い。床には井
出創太郎さんによる「想起の床」という作品が敷き詰められている。大学内で使われなくなった銅版画の版を研磨して床に敷き詰めたのだ。ひんやりとした銅版は足の裏に気持ちいい。

 そして、大きく張り出したウッドデッキは水津功さんが設計した「大縁側」。この場所は、ふだんは休憩所などに利用されるが、音楽やパフォーマンスのイベントなどを行
う予定だという。【上條桂子,エキサイトイズム】

公式ガイドブック、公式サイト:C1エリア?C2エリア

島内での交通は、鬼ヶ島大洞窟へはバス、そのほかの作品は徒歩。バスはフェリーにあわせて接続している便が多いため、島に到着したら、すぐに鬼ヶ島大洞窟へ向かうのがオススメ。バス料金は片道300円、往復600円。レアンドロ?エルリッヒ「
不在の存在」内のレストラン「Restaurant IARA Megijima」での食事もオススメ(087-840-9022、11:00?20:30無休)。

作品鑑賞可能時間 9:00?17:00
(愛知県立芸術大学アートプロジェクトチーム、レアンドロ?エルリッヒ、行武治美は20:30まで)、無休
お問い合わせ:島の案内所(C2エリア) 090-7783-3617(9:00?21:00)
香川県高松市女木町15-
22

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展のメイキング


引用元:アトランティカ rmt

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